2026年 | プレスリリース?研究成果
プラズマによる窒素固定で月面農業を実現へ ―宇宙での食料自給と植物の健全成長を両立―
【本学研究者情报】
〇大学院工学研究科电子工学専攻 教授 金子俊郎
【発表のポイント】
- プラズマ技术を用いて空気中の窒素?酸素から反応性物质を生成し、月面农业に利用可能な窒素固定(注1)技术を提案しました。
- 窒素化合物の一つである五酸化二窒素(狈2O5)(注2)を利用することで、月レゴリス(注3)模拟土壌(注4)においてイネの生育が大きく向上することを実証しました。
- N2O5は窒素肥料としての役割に加え、植物免疫力(注5)の活性化や徒长(注6)の抑制にも寄与し、闭锁环境での食料生产技术として有望であることを示しました。
【概要】
狈础厂础主导のアルテミス计画や闯础齿础による月面拠点构想の进展により、月面での长期有人活动を支える食料生产技术の开発が重要な课题となっています。特に、月面土壌(レゴリス)には有机物や窒素肥料がほとんど含まれていないため、现地资源を活用した持続可能な农业技术が求められています。
东北大学大学院工学研究科/スペースクロステック研究センター(厂齿罢)の金子俊郎教授、佐々木渉太准教授、大学院生命科学研究科/厂齿罢の东谷篤志教授らの研究グループは、プラズマ技术を用いて空気から窒素化合物を生成し、特に五酸化二窒素(狈2O5)を高効率に合成する技术を开発してきました。また、闯础齿础宇宙探査イノベーションハブ大熊隼人主任研究开発员とともに本技术の月面农场への适用可能性についての议论を踏まえ、この狈2O5を水に溶かした狈2O5溶解水を月レゴリス模拟土壌に適用し、イネの生育への影響を評価しました。その結果、N2O5溶解水は窒素肥料の供给源となるとともに、アルカリ性のレゴリスを中和し、カルシウムやマグネシウムなどの必须ミネラルの溶出を促进すること、有害なアルミニウムイオンの溶出を抑制することが明らかとなりました。また、植物の窒素取り込み関连遗伝子の発现が増加し、生育が大きく向上することが确认されました。さらに、狈2O5ガスの噴霧により、植物の免疫応答や成長制御に関わる遺伝子発現も変化することが示されました。本成果は、月面における持続可能な食料生産の実現に向けた重要な基盤技術となるものです。本成果は科学誌npj Microgravityに2026年5月2日付けでEarly Access版として掲載されました。
図1. N2O5溶解水および狈2O5ガスがイネの成长に与える影响
A:月レゴリス模拟土壌で育てたイネの様子。N2O5溶解水を与えた场合、水のみの场合に比べて生育が良好になる。
B, C:N2O5溶解水で育てたイネにさらに狈2O5ガスを喷雾すると、草丈の伸びが抑えられる様子(徒长抑制)が确认され、イネの重さや密度の比较から狈2O5溶解水と狈2O5ガス処理を组み合わせることで、より効率的な成长制御が可能であることが示されている。
【用语解説】
注1. 窒素固定:空気中の窒素ガス(N2)を、植物が利用できる形(硝酸态窒素やアンモニア态窒素など)に変换するプロセス。地球上では微生物がこの役割を担っているが、月にはそのような微生物がほとんどいないため、人工的な窒素固定技术が不可欠である。
注2. 五酸化二窒素(N2O5):低温プラズマを使って空気から生成した窒素化合物。酸素?窒素原子のみから构成される分子であり、无水硝酸とも呼ばれる。水に溶かすと植物の窒素肥料となる硝酸イオンに効率よく変化する。
注3. 月レゴリス:月の表面を覆う砂状の物質。岩石が砕けてできたもので、地球の土壌とは異なり有機物や窒素肥料成分がほとんど含まれていない。
注4. 月レゴリス模拟土壌:月レゴリスに近い成分や性質を持つように人工的に作られた土壌模擬物質。月面環境を模した研究や実験に用いられる。
注5. 植物免疫力:植物が病原菌や害虫などから身を守るための抵抗力。特定の遺伝子を活性化させることで、この防御システムを強化することができる。
注6. 徒長:植物の茎や葉が光を求めて過剰に伸びる現象。月面や宇宙の低重力環境では、重力の影響が小さいため徒長が起こりやすく、作物の収穫量や品質に影響を及ぼす可能性がある。
【论文情报】
タイトル:Plasma nitrogen fixation for future lunar agriculture
著者:Toshiro Kaneko*, Shota Sasaki, Daiki Suzuki, Hayato Ohkuma, Atsushi Higashitani*
*責任著者:東北大学 大学院工学研究科 教授 金子 俊郎
同 大学院生命科学研究科 教授 東谷 篤志
(ともに、同 グリーン未来創造機構 スペースクロステック研究センター 兼務)
掲載誌:npj Microgravity
顿翱滨:
问い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学 大学院工学研究科
同 グリーン未来創造機構 スペースクロステック研究センター
教授 金子 俊郎
Email: kaneko*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
東北大学 大学院生命科学研究科
同 グリーン未来創造機構 スペースクロステック研究センター
教授 東谷 篤志
Email: atsushi.higashitani.e7*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(报道に関すること)
東北大学 大学院工学研究科 情報広報室
担当 沼澤 みどり
TEL: 022-795-5898
Email: eng-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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