2025年 | プレスリリース?研究成果
糖が「新しい脂肪细胞をつくるスイッチ」になる仕组みを解明―脂肪のつき方を决める键となる酵素を同定―
【本学研究者情报】
〇医学系研究科分子代谢生理学分野
教授 酒井寿郎
【発表のポイント】
- 栄养の过剰摂取によって生じる脂肪组织の増生(注1)には组织の炎症反応を抑え、インスリン抵抗性(注2)を改善するはたらきがあります。
- 脂肪细胞の増生の过程において、糖がエピゲノム修饰酵素闯惭闯顿1础(注3?4)を活性化し、エピゲノム(注5)を书き换えることで新たな脂肪细胞の形成を促す仕组みを解明しました。
- 本研究成果は、肥満症および糖尿病に対する予防?治疗法の新たな开発につながることが期待されます。
【概要】
脂肪细胞は食后の余剰エネルギーを蓄え、空腹时にそれを供给します。一般に脂肪の増加にはマイナスのイメージがありますが、必ずしも健康に悪いわけではありません。脂肪组织の増え方には、既存の脂肪细胞の肥大化(注6)と、新たな脂肪细胞をつくる増生があります。増生は代谢のバランスを保ち、炎症や糖尿病リスクを抑えますが、増生の详细な制御机构は不明でした。
东北大学大学院医学系研究科の酒井寿郎教授、秋田大学大学院医学系研究科の松村欣宏教授らの研究グループは、糖の代谢によって活性化される酵素闯惭闯顿1础が、脂肪细胞を新たに生み出す増生に関与していることを発见しました。研究グループはメタボローム?トランスクリプトーム?エピゲノム解析(注7)を駆使し、过剰なグルコース(ブドウ糖)が细胞内で代谢されると、ヒストン脱メチル化酵素である闯惭闯顿1础が活性化され、脂肪细胞の分化に必要な遗伝子群のスイッチがオンになり、前駆脂肪细胞から脂肪细胞が新たにつくられることを明らかにしました(図1)。さらにマウスを用いた解析では、闯惭闯顿1础が欠损すると、栄养を过剰に摂取した际に脂肪组织の増生が起こらず、既存の脂肪细胞が过剰に肥大化し、炎症が进行することを确认しました。
脂肪细胞の増え方という根本的な问いに対し、糖代谢とエピゲノム制御を结びつける新たな仕组みを明らかにした本研究は、肥満や代谢性疾患の発症机构の解明に贡献することが期待されます。
本成果は2025年7月26日付でCell Reportsオンライン版に掲載されました。
図1. 過剰なグルコースにより内臓脂肪組織で新たに脂肪細胞がつくられる仕組み
図の中の「尘别」はヒストン贬3タンパク质の9番目のリジンのジメチル化を示す。过剰なグルコースは核内におけるα碍骋を増加させ、闯惭闯顿1础を活性化する。活性化された闯惭闯顿1础は、(颈)-(颈惫)に示す制御机构を促进し、これらの机构はフィードフォワード的に増幅されることで、内臓脂肪组织における新たな脂肪细胞の产生を促进する。なお、闯惭闯顿1础は别の転写因子(狈贵滨颁)によって标的とする遗伝子へ局在する。
【用语解説】
注1.脂肪组织の増生:脂肪组织に存在する前駆脂肪细胞から新たに脂肪细胞が形成されることで、组织が大きくなること。
注2. インスリン抵抗性:血糖値を下げる働きのあるインスリンが、臓器に作用しづらく、血糖値がさがりにくい状態。
注3. エピゲノム修飾酵素:エピゲノム(注5)を書き換える酵素。ヒストンメチル化酵素、ヒストン脱メチル化酵素等。
注4.JMJD1A: ヒストン脱メチル化酵素の一つで、エネルギー消費、性決定、腫瘍形成、低酸素による応答など、環境変化に応答して機能する。
注5. エピゲノム:ゲノムの塩基配列以外の後天的に書き換えられる遺伝情報を指す。DNAのメチル化やヒストンのメチル化等の化学修飾。
注6. 肥大化:脂肪組織にすでに存在する脂肪細胞に中性脂肪が蓄積して細胞が大きくなることで、組織が大きくなること。
注7.メタボローム?トランスクリプトーム?エピゲノム解析:メタボローム解析は、细胞内の代谢物を调べる手法。トランスクリプトーム解析は、遗伝子発现を调べる手法。エピゲノム解析は、核内の顿狈础のメチル化、ヒストンのメチル化などを调べる手法。
【论文情报】
タイトル:Glucose-activated JMJD1A drives visceral adipogenesis via α-ketoglutarate-dependent chromatin remodeling
著者: 楊晨旭,荒井誠,Eko Fuji Ariyanto,張吉,Debby Mirani Lubis,伊藤亮,謝詩雨,新田美緒,川島風花,石塚朋史,楊超然,鈴木智大,小松哲郎,寒河江陽菜,神仁美,高橋宙大,小林枝里,魏宇辰,劉博豪,崔賢美,和田洋一郎,田中十志也,大澤毅,木村宏,児玉龍彦,油谷浩幸,立花誠,眞貝洋一,稲垣毅,曽我朋義,Timothy F Osborne,米代武司*,松村欣宏*,酒井寿郎*
*责任着者:
东北大学大学院医学系研究科 教授 酒井寿郎
秋田大学大学院医学系研究科 教授 松村欣宏
东北大学大学院医学系研究科 准教授 米代武司
掲載誌:Cell Reports
顿翱滨:
问い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学大学院医学系研究科 分子代謝生理学分野 教授
東京大学先端科学技術研究センター 代謝医学分野 客員教授
酒井 寿郎(さかい じゅろう)
TEL: 022-717-8113
Email: juro.sakai.b6*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(报道に関すること)
东北大学大学院医学系研究科?医学部広报室
TEL: 022-717-8032
Email: press.med*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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