2025年 | プレスリリース?研究成果
ルイ?パスツールもきっと驚く!? 左右を選別するナノ光ピンセットによる キラル結晶化制御の可能性を示唆
【本学研究者情报】
〇多元物质科学研究所 助教 新家寛正
【発表のポイント】
- 诱电体メタ表面(注1)でのキラルな光场の励振に伴い発生するキラル选択的な光学力(注2)が、キラル结晶の核形成(注3)に影响を及ぼす可能性が示唆されました。
- フランスの细菌学者ルイ?パスツールがキラリティ科学を创出した経纬であるピンセットによるキラル结晶选别と类似した、光のピンセットによるキラルナノ结晶选别の可能性を示す成果です。
【概要】
キラリティという、右手と左手の関係のように镜合わせの构造同士が异なる性质は、自然界に普遍的に存在し、生命の起源、创薬やスピントロニクス(注4)とも関わる重要な性质です。
东北大学多元物质科学研究所の新家寛正助教と中川胜教授らの研究グループはこれまでに、円偏光(注5)照射により惭颈别共鸣(注6)の励振された诱电体メタ表面上で水溶液からのキラル結晶化(注7)を诱起すると、円偏光のみの场合よりも结晶の利き手が大きく偏る现象を発见していました(文末の过去のプレスリリース参照)。
今回、研究グループは电磁场解析により、キラルな光场の励振に伴い结晶化前のキラル结晶クラスターに働く镜像体选択的な光学力の大きさが、结晶核形成に有意な影响を及ぼす可能性があることを明らかにしました。キラリティ科学は、1848年にルイ?パスツールがワインの樽に析出した酒石酸塩结晶に2种类の形があることに気づき、それらをルーペで拡大しながらピンセットで选别したことから始まりました。本成果は、キラルナノ结晶を光のピンセットで选别した可能性を示すものです(図1)。
本成果は、米化学会の科学誌The Journal of Physical Chemistry C に 6月10日(米国太平洋标準时间)付でオンライン掲载されました。
なお本成果は新潟大学大学院自然科学研究科の后藤和泰准教授、名古屋大学未来材料?システム研究所の田川美穂教授、大阪大学大学院工学研究科の吉川洋史教授、埼玉大学大学院理工学研究科の川村隆叁准教授らとの共同研究によるものです。
図1. 本研究により示唆された光学キラリティ増強が近接場で期待されるMie共鳴Siナノ構造体上でのキラル結晶化においてキラリティが偏る機構の概要図。ルイ?パスツールは、ワインの樽に析出した酒石酸塩結晶には2種の外形が混在していることに気が付き、ピンセットでその2種を選別し、キラリティ科学を創出した。本研究の解析は、光学キラリティの空間勾配の存在によってキラル結晶クラスターに鏡像異性体選択的な光学力が働くことで、キラル結晶化にキラリティの偏りが生じたことを示唆する。パスツールによるピンセットを用いた巨視的なキラル結晶の選別に対し、本研究は、キラルナノ結晶クラスターの光ピンセットを用いた選別を示唆する。
【用语解説】
注1. 诱电体メタ表面
メタ表面とは、微細加工技術などによって人工的に作製された疑二次元ナノ構造配列体により、自然界の物質では見られない光学特性が付与された表面である。特にナノ構造体の材料に誘電体を用いたメタ表面を诱电体メタ表面と呼ぶ。これまでに、金属ナノ構造体への光照射により励振する表面プラズモン共鳴の光学特性を利用したメタ表面が広く知られるようになった一方で、近年、誘電体ナノ構造の多様な光共鳴現象を活用することでメタ表面の光学特性の多様性を拡張する研究が注目されている。
注2. 光学力
物质が光から受ける力の総称を指す。物质に光が照射されると、光の电场により电子が动かされるため、物质内では电荷の偏り、すなわち分极が生じる。电子过剰により负に帯电した部分と电子欠乏により正に帯电した部分は、电场によって互い逆向きの力を受け、それらの力は互いに相杀されるが、例えば、电场の强さに空间的な偏りがあると相杀されない力が残り、この力が物质を动かす力となる。そのため、光学力によって物质を操作することが可能である。
注3. 核形成
结晶化の最初の过程を指す。结晶化の前段阶では、母相中の分子が集合しクラスターを形成する。一方で、クラスター形成に伴い界面が形成される。界面の存在はエネルギー的に不利となるため、系は界面を无くそうとする。その结果、クラスターを消灭させようとする作用が生じる。结果、结晶化前の母相中では、クラスターの生成と消灭が繰り返されていると考えられている。一方で、クラスターがある临界サイズに到达すると、界面によるエネルギー不利に打ち胜つような、クラスターを安定化させる作用が働き、结晶形成に至る。クラスターがこの临界サイズに到达し、安定化する过程を核形成と言う。
注4. スピントロニクス
固体中の电子が持つ电荷だけでなくスピンの自由度も併せて工学的に応用する分野のことを指す。固体中の电子はマイナスの电荷を持つ。电荷のマイナスとプラスの自由度を情报として活用するのがエレクトロニクスである。一方で、电子には电荷だけではなく、スピンと呼ばれる性质を持つ。スピンは、电子の自転に例えられる性质で、回転の方向には左回りと右回りに対応する自由度がある。この自由度を、电荷のプラスとマイナスのように情报として活用することができる。スピンとエレクトロニクスを组み合わせた造语がスピントロニクスである。
注5. 円偏光
光は电磁场であり、电场と磁场が互いに诱起しあいながら存在する。电场には方向があるため、电场のベクトルを定义することができる。电场ベクトルが直线上で振动している光は、直线偏光と呼ばれる。一方で、电场ベクトルが回転して振动している光を円偏光と呼ぶ。回転の方向に左回りと右回りが存在するため、円偏光はキラリティを持つ。
注6. Mie共鳴
诱电体ナノ粒子やナノ构造体へ光を照射した际に粒子内部で起こる光共鸣现象を指す。高屈折率诱电体に照射された光は、その屈折率のため実効的な波长が短くなり、诱电体のサイズがその短くなった波长と同程度の大きさである场合、诱电体内部で光の共鸣が起きる。この现象を惭颈别共鸣と呼ぶ。
注7. キラル結晶化
キラリティを持たない(アキラルな)分子が结晶构造にキラリティを持つ结晶へと结晶化する现象を指す。キラリティとは、镜合わせの関係にある2つの构造が异なる性质のことを指す。キラリティがあることをキラルといい、キラルな构造の代表例は人间の手の形がある。右手の形を镜に映すと左手の形になり、これら镜像体の形は异なるため、手の形にはキラリティがあると言える。キラルな物质には、同じ物质でも右手型と左手型に対応する异なる构造が存在する。キラルな物质の左右を表现するため"利き手"という言叶がしばしば用いられる。一方で、例えば、球を镜に映した形は球であり、球の镜像体同士は同じ形を示すため、球にはキラリティが无いことになる。キラリティが无いことをアキラルという。人间の手の形の他に、キラリティがある构造の例として、右巻きと左巻きが存在するらせん构造が挙げられる。キラル结晶化は、结晶化に伴い自発的にキラリティ対称性の破れが起こる现象の一つであるため、ホモキラリティ问题の観点から広く兴味が持たれている现象である。また、静置された水溶液を蒸発させるなどの一般的な结晶化法によりキラル结晶化を诱起すると、结果晶出するキラル结晶の右手型と左手型は同数である一方で、溶液を搅拌しながらキラル结晶化を诱起すると、晶出する结晶のほぼ全てがどちらか片方の利き手のみになる现象が知られている。晶出する结晶の利き手に偏りを诱起する因子の探索研究が数多く行われている。
【论文情报】
タイトル:Enantioselective Optical Force as a Potential Cause of Large Chiral Bias in Chiral Crystallization on a Mie-Resonant Metasurface
著者: Hiromasa Niinomi*, Kazuhiro Gotoh, Naoki Takano, Miho Tagawa, Iori Morita, Akiko Onuma, Hiroshi Y. Yoshikawa, Ryuzo Kawamura, Tomoya Oshikiri, and Masaru Nakagawa
*责任着者:东北大学多元物质科学研究所 助教 新家寛正
掲載誌:The Journal of Physical Chemistry C
顿翱滨:
问い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学 多元物質科学研究所 光機能材料化学研究分野
助教 新家 寛正(にいのみ ひろまさ)
电话:022-217-5672
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(*を蔼に置き换えてください)
(报道に関すること)
東北大学 多元物質科学研究所 広報情報室
电话:022-217-5198
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(*を蔼に置き换えてください)

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