2024年 | プレスリリース?研究成果
タンパク質フォールディングの速度論的制御分子の開発に関する最新の知見と展望 ―「遅延制御機構」が反応を促進する新しい学理と、構造異常タンパク質に起因する難病治療に貢献する学術基盤―
【本学研究者情报】
〇学际科学フロンティア研究所
准教授 奥村正樹
【発表のポイント】
- フォールディング(折り畳み)は、タンパク质の机能を获得する上で必要不可欠なプロセスであり、生体内では分子シャペロン(フォールディングを助けるタンパク质)や酵素がその促进を担っています。それらの作用メカニズムの解明は、构造异常タンパク质が引き起こすパーキンソン病やアルツハイマー病、ヤコブ病、筋萎缩性侧索硬化症(础尝厂)、冲縄型神経原性筋萎缩症、2型糖尿病などのミスフォールディング病を理解し、治疗薬の开発につながる重要な知见を提供します。
- 本论文では、最新の知见に基づくタンパク质フォールディングを促进する分子シャペロンと酸化还元酵素の作用メカニズムを包括的に説明し、これら生物学的理解に立脚したタンパク质フォールディング促进分子の开発に関する进展と今后の展望を报告しました。特に、タンパク质フォールディングの促进分子を开発する际、フォールディングの速度论的な「遅延制御」という独自の化学アプローチについて概説しました。
- フォールディング促进効果を持つ人工分子は、ミスフォールディング病の予防と治疗に有効と考えられ、またインスリンや抗体医薬品などのタンパク质製剤の合成効率向上にも大きく贡献すると期待されます。また、タンパク质フォールディングは、生化学における基础研究だけでなく、化学、薬学、医学と関连し、健康、福祉、そして长寿高齢化に伴う社会课题の解决に贡献する学问分野として、今后の大きな発展が期待されています。
【概要】
東京農工大学大学院工学研究院の村岡貴博教授、東北大学学际科学フロンティア研究所の奥村正樹准教授、徳島大学先端酵素学研究所の齋尾智英教授の研究ク?ルーフ?は、タンパク質フォールディングを促進する酵素のメカニズム解明、および類似機能を持つ低分子化合物の開発に関して、「遅延制御」という独自の機構を提唱し、世界をリードする重要な成果をこれまで多数発表してきました。本論文で、これまでに得られた最新かつ重要な知見をまとめ、今後の展望と合わせて報告しました。
アミノ酸が连结して作られるポリペプチドは、天然构造と呼ばれる特定の叁次元构造を形成して、タンパク质としての机能を获得します。この天然构造を形成する过程をポリペプチド锁の折りたたみ、フォールディング、と呼びます。非天然型の立体构造を形成した构造异常タンパク质は、神経変性疾患注1)や糖尿病などのミスフォールディング病を発症する原因と考えられています。またタンパク质は、インスリンや抗体医薬注2)などバイオ医薬品としても広く利用され、その社会的重要性は近年急速に高まっています。フォールディングを効率よく进める生体システムの理解と、フォールディングを促进する薬剤开発は、ミスフォールディング病の予防や治疗、そしてタンパク质製剤の生产効率の向上に直结する重要な课题です。その中で我々は、独自に见出した「遅延制御机构」に基づき、以下に示す重要なメカニズムの解明と技术开発を世界に先駆けて达成してきました。
?分子シャペロンが、フォールディングを遅延させるホールダーゼ(Holdase)および促进するフォールダーゼ(Foldase)として対照的な二面性を示す分子メカニズムの解明
?ミスフォールディング病との関连が指摘されるジスルフィド结合触媒酵素群が、酸化还元反応の遅延制御によってフォールディング速度を精巧に调节する分子メカニズムの解明
?遅延制御机构に基づく、生体内システムと比肩する高い活性を持つ初めての人工フォールディング促进分子の开発
図1 タンパク质フォールディングの概要とフォールディング促进に関わる分子シャペロン、酸化还元酵素、シャペロン模倣人工分子、酸化还元酵素模倣人工分子
【用语解説】
注1. 神経変性疾患:
中枢神経を构成する特定の细胞群が障害を受け発症する脳神経疾患の1つ。构造异常タンパク质の蓄积や沉着が神経细胞群の障害を引き起こす主要因の1つと考えられている。
注2. 抗体医薬:抗体を利用した医薬品。抗体は、がん細胞などの細胞表面にある抗原を特異的に認識し、治療する。抗原を持たない他の細胞は攻撃しないため、副作用が少ないと考えられている。
问い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学学际科学フロンティア研究所
准教授 奥村正樹(おくむら まさき)
罢贰尝:022-795-5764
贰尘补颈濒: okmasaki*tohoku.ac.jp(*を蔼に置き换えてください)
(报道に関すること)
東北大学学际科学フロンティア研究所 企画部
特任准教授 藤原 英明 (ふじわら ひであき)
罢贰尝:022-795-5259
贰尘补颈濒: hideaki*fris.tohoku.ac.jp(*を蔼に置き换えてください)