2024年 | プレスリリース?研究成果
抗炎症薬に似た分子の医薬応用可能性を検証 構造等価性に基づく新規医薬品開発への貢献に期待
【本学研究者情报】
〇大学院薬学研究科 合成制御化学分野
助教 长泽翔太
【発表のポイント】
- 楔型炭化水素クネアン(注1)のメタ置换ベンゼン(注2)との构造类似性に着目し、分子特性の改善を通して、より优れた医薬品の创生を可能にし得る生物学的等価体としての応用が可能か検証しました。
- 抗炎症薬ケトプロフェンと构造の似た化合物をクネアンから合成し、その生物活性试験を行ったところ、ケトプロフェンの100分の1の生物的応答を有することを认めました。インシリコ解析(注3)によりその生物活性に対する理论的里付けの获得にも成功しました。
- 低分子医薬品开発における新たな分子设计指针を示唆するものであり、创薬科学研究の进展への寄与が期待されます。
【概要】
近年の创薬研究においては、より优れた低分子医薬品などの开発を可能にするために、特定の分子构造?官能基(注4)と构造的に类似している上に、同等の生物学的応答を有する构造単位(生物学的等価体)が注目されています。特に、医薬分子に遍在するベンゼン环の生物学的等価体として、ベンゼン环と同様に柔软性の少ない叁次元的构造を有する炭化水素类が提唱されています。
东北大学大学院薬学研究科の長澤翔太 助教、岩渕好治 教授らの研究グループは、同研究科平澤典保教授の研究グループおよび筑波大学医学医療系広川貴次教授と共同で、立方体型炭化水素であるキュバン(注5)の構造異性体として知られる、楔型炭化水素であるクネアンのメタ置换ベンゼン生物学的等価体としての応用可能性を様々な側面から検証しました。具体的には、抗炎症薬ケトプロフェンのクネアンアナログの合成に成功し、その生物活性試験およびインシリコ解析により、クネアンの生物学的等価体としての妥当性を評価しました。その結果、100分の1程度ではあるものの所望の生物活性を維持することが分かりました。適切な対象医薬品および薬効を選定することで、クネアンが新たな生物学的等価体として利用できる可能性を示唆する結果です。
本研究成果は、低分子医薬品开発における新たな分子设计指针を示唆するものであり、创薬科学研究の进展への寄与が期待されます。
本研究成果は2024年1月12日、ヨーロッパ化学会の国際誌 Chemistry--A European Journal に掲載されました。
図1. ベンゼン環の生物学的等価体
【用语解説】
注1. クネアン:
分子式颁8H8の炭化水素化合物の1つで、楔(くさび)のような形をしていることからその名がつけられた(ラテン语:楔 cuneus)。キュバン(注5)の构造异性体(分子式が同一だが构造が异なる)であり、キュバンに特定の金属触媒を作用させることでクネアンへの异性化が进行する。
注2. ベンゼン:
分子式颁6H6の最も単纯な芳香族炭化水素。所谓「亀の甲」の形状を有する分子。分子中の炭素-水素结合が异なる官能基で2箇所置换された化合物は、置换位置によってオルト、メタ、パラ置换ベンゼンと区别して呼ばれる。
注3. インシリコ:
化学薬品や细胞等を取り扱う実験とは异なり、コンピュータを用いた计算によるシミュレーション等により、结果を予测する実験手法。
注4. 官能基:
有机化合物に存在する特定の构造を有する原子団。有机化合物の性质を特徴づける。ヒドロキシ基(-翱贬)、カルボキシ基(-颁翱翱贬)、アミノ基(-狈贬2)など。
注5. キュバン:
分子式颁8H8の炭化水素化合物の1つで、立方体(cube)の形を有する。1964年にシカゴ大学のPhilip E. Eaton教授により初めて合成された。近年では、ベンゼン環の生物学的等価体としての利用法が模索されている。
问い合わせ先
(研究に関すること)
东北大学大学院薬学研究科
助教 长泽翔太、教授 岩渕好治
TEL:022-795-6847, 6846
Email: shota.nagasawa.d8*tohoku.ac.jp(*を蔼に置き换えてください)
y-iwabuchi*tohoku.ac.jp(*を蔼に置き换えてください)
(报道に関すること)
东北大学大学院薬学研究科?薬学部 総務係
TEL: 022-795-6801
Email: ph-som*grp.tohoku.ac.jp (*を蔼に置き换えてください)