2022年 | プレスリリース?研究成果
ファンデルワールス力の機構を分子レベルで解明 ─環境に敏感な生体適合性材料のデザインに新たな機軸を提供─
【本学研究者情报】
〇大学院理学研究科物理学専攻 特别研究员 髙桥まさえ
【発表のポイント】
- 高辉度放射光(注1)とテラヘルツ光(注2)を用いてファンデルワールス极限(注3)のごく弱い水素结合による疎水性水和(注4)の调节を観测しました。
- 多方面ですでに実用化されている生体适合性材料について分子内构造をもとにファンデルワールス相互作用の影响を分子レベルで解明しました。
- 非晶质材料の复雑な振动吸収スペクトルを、高精度第一原理计算(注5)を駆使して的确に解析しました。
【概要】
ファンデルワールス相互作用は弱く柔软で、ヤモリが壁に贴りつく力、虫が叶にとまる力などのもととなり、自然界では多くの场面で観ることができます。その発生要因は、电荷分布の时间的揺らぎに起因する纯粋に量子物理学起源の力によるものですが、近年ようやく分子レベルでの理论的取り扱いが可能となってきました。
东北大学大学院理学研究科物理学専攻の高橋まさえ研究員と松井広志准教授らの研究グループは、高辉度放射光(赤外線領域)とテラヘルツ光を用いた測定と高精度第一原理計算による理論解析をもとに、生体適合性材料MPC(注6)ポリマーの疎水性水和机能(図1)を调节するファンデルワールス相互作用を分子レベルで明らかにしました。本研究は、ファンデルワールス相互作用の影响について分子レベルで理解することにより、特に医疗用デバイスとしてすでに多方面で実用化されている生体适合性材料のデザインに新たな机轴を提供すると期待されます。
本研究の成果は、2022年11月27日にNature Publishing Groupのオンライン科学雑誌『Scientific Reports』に掲載されました。
図1. MPCポリマーの分子内塩構造と疎水性水和
N+と翱?が分子内塩を作り(青矢印)、极性の小さいメチル基やメチレン基が疎水性水和に寄与します
【用语解説】
(注1)放射光
电子を光速に近い速度まで加速し、电磁石によって进行方向を曲げた时に発生する、指向性が高く强力な光。
(注2)テラヘルツ光
周波数が1×1012 Hz (テラヘルツ)周辺の電波と光波の中間の電磁波。適切な光源や検出器がなく、この領域は長く光の暗黒帯と呼ばれていました。近年の光源と検出器の進歩により、テラヘルツ光を利用した研究は急速な進歩を遂げています。
(注3)ファンデルワールス极限
ファンデルワールス力は中性分子间に働く引力で、最初に提唱したファンデルワールスの名前がつけられています。水素结合の范囲は広く、よく知られている水分子どうしの水素结合を中心として、今回観测したごく弱いファンデルワールス极限から、强い共有结合极限まであります。弱い水素结合に主に寄与する力が电荷分布の时间的揺らぎに起因する分散力(主としてファンデルワールス力)であることから、弱い水素结合の极限はファンデルワールス极限といわれています。
(注4)疎水性水和
非极性溶质が水に溶けること(図1参照)。
(注5)第一原理计算
物质の电子状态を计算する方法。実験パラメータを使わない计算で、电子状态、最适构造、物性などを、実験とは独立に予测できます。
(注6)惭笔颁
物质名2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの略。惭笔颁のポリマーは生体膜(细胞膜)の构成成分であるリン脂质极性基を导入した高分子で、タンパク质や血球等が极めて付着しづらくすることができます。
问い合わせ先
<研究に関すること>
东北大学大学院理学研究科物理学専攻
特任研究员 高桥まさえ(たかはし まさえ)
电话:022-795-6786
贰-尘补颈濒:尘补蝉补别.迟补办补丑补蝉丑颈.诲1*迟辞丑辞办耻.补肠.箩辫(*を蔼に置き换えてください)
东北大学大学院理学研究科物理学専攻
准教授 松井広志(まつい ひろし)
電話: 022-795-6604
E-mail: hiroshi.matsui.b2*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
<报道に関すること>
东北大学大学院理学研究科
広报?アウトリーチ支援室
電話: 022-795-6708
E-mail:sci-pr*mail.sci.tohoku.ac.jp (*を@に置き換えてください)