2022年 | プレスリリース?研究成果
貴金属を使用しないグラフェンの優れた触媒能力の起源を解明 曲面上の炭素を窒素で置換することにより金属と絶縁体の両方の性質が現れることが鍵
【発表のポイント】
- グラフェン(*1)による3次元的な曲面に窒素を化学ドープ(*2)した场合の电子状态と电気伝导物性を解明。
- 3次元的に曲がったグラフェンと窒素ドープの组み合わせにより、电子が动き回る金属的な特性と电子が局在した絶縁体的な特性が共存することを発见。
- 金属的な特性を利用して絶縁体的な特性を持つ领域に电子を输送して触媒反応に利用できることから、高い电気伝导性を有する非金属触媒の设计が可能。
【概要】
炭素材料は化学反応の金属触媒を担持させる素材として利用されています。もし炭素材料自体が触媒の働きを持てば、白金などの高価な金属触媒が不要になります。
冈山理科大学の田邉洋一准教授、筑波大学の伊藤良一准教授、米ジョンズ?ホプキンス大学の陈明伟教授らの研究グループは、东北大学の菅原克明准教授、高桥隆名誉教授、小谷元子教授、大阪大学の大戸达彦助教、西内智彦助教らの研究グループと共同で、炭素原子シートのグラフェンをモチーフとした立体的な曲面构造に、窒素を化学ドープすることで、グラフェンに电気が容易に流れる金属的な状态と、电子が曲面上の一部の领域に闭じ込められている(局在する)ために不安定で触媒反応に利用しやすい状态(絶縁体的な电子)が共存した特异な电子状态が実现していることを発见しました。
グラフェンは、高い电気伝导性を示す炭素の2次元シートです。グラフェンの炭素原子を窒素原子や硫黄原子で部分的に置换すると、化学的に不活性なグラフェンを化学的活性な状态へ変えられることが知られており、これを利用した电极触媒(*3)材料の开発が行われてきました。さらに、グラフェンを立体化させることで、非贵金属触媒や导电性の触媒担体として优れた性质を持つことが报告されています。しかし、3次元的な构造を持つグラフェン(3顿グラフェン)と化学ドープの组み合わせがどのようにして高机能触媒に结びつくのかはよく分かっていませんでした。
今回研究グループは、3次元ナノ多孔质グラフェンと呼ばれる3次元のナノ多孔质构造(*4)を持つグラフェンの曲面上の炭素原子を窒素原子で部分置换し、窒素ドープした3次元グラフェンの电子物性を详细に调べました。その结果、曲面と窒素置换の组み合わせにより、アーバックテール(*5)と呼ばれるポテンシャルの乱れによって電子が閉じ込められた状態と電気が良く流れる金属的な状態が共存することが分かりました。本研究成果から、3次元構造を持つグラフェン上で触媒反応が起こる場所や担持触媒へ効率よく電子を輸送し触媒反応を促進する機構が明らかになったことから、化学ドープした貴金属を使用しない炭素系電極触媒や高機能触媒担体の更なる研究開発が進むことが期待されます。本研究はドイツ科学雑誌「Advanced Materials」に2022年10月8日(現地時間)付けでオンライン掲載されました。
図1.窒素ドープした3次元ナノ多孔质グラフェン电子顕微镜像。
(a) 窒素ドープした3次元ナノ多孔質グラフェン走査型電子顕微鏡像。
(b) 窒素ドープした3次元ナノ多孔質グラフェン透過型電子顕微鏡像。
【用语解説】
(*1) グラフェン
炭素原子が蜂の巣格子を组むように共有结合した2次元シート材料。原子1层分の厚みを持つ。
(*2) 化学ドープ
ある物质に含まれる元素の一部を别の元素で置き换えること
(*3) 電極触媒
触媒作用を持った电极
(*4) 3次元のナノ多孔質構造
物质の内部にナノサイズの细孔がランダムに繋がったスポンジ构造体のこと。例えば、(図5)の金の场合、ひも状の构造体が连続して繋がって穴が开いている状态である。ナノ多孔质を持つ物质では、この穴とひも状构造が数ナノメートルサイズの状态で维持されている。
(*5) アーバックテール
半导体物质のバンド端において、ポテンシャルの乱れの効果により生成される局在準位に由来して指数関数型のテールが现れる现象。
问い合わせ先
菅原 克明(スガワラ カツアキ)
东北大学材料科学高等研究所(奥笔滨-础滨惭搁)/理学研究科 准教授
罢贰尝:022-217-6169
E-MAIL : k.sugawara*arpes.phys.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
东北大学材料科学高等研究所(奥笔滨-础滨惭搁) 広报戦略室
TEL 022-217-6146
E-MAIL: aimr-outreach*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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