2022年 | プレスリリース?研究成果
がん細胞のみを攻撃する人工免疫細胞と人工ウイルスを用いた新しい治療の開発に成功 ?悪性脳腫瘍への治療に期待?
【本学研究者情报】
〇大学院医学系研究科分子薬理学分野 教授 加藤幸成
【発表のポイント】
- 悪性脳肿疡は手术で完全に取り除くことは难しく、患者は、术后に放射线治疗や化学疗法を受けたとしても生存率が非常に低い病気である。
- 今回の実験で人工的に作ったキメラ抗原受容体(颁础搁)-罢细胞注1)を投与し、悪性脳肿疡のがん细胞だけを攻撃することに成功した。
- さらにヘルペスウイルス骋47Δ(デルタ)注2)を悪性脳肿疡のがん细胞に感染させ死灭させ、実験マウスの生存率を向上させることが明らかになった。
【概要】
国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学未来社会創造機構の夏目 敦至 特任教授らは、東京大学医科学研究所先端がん治療分野の藤堂 具紀 教授、東北大学大学院医学系研究科分子薬理学分野の加藤 幸成 教授と共同で、がん細胞のポドプラニン注3)を见分けるキメラ抗原受容体(颁础搁)-罢细胞をつくりだすことに成功しました。
さらに、肿疡细胞のみに感染し壊す作用を持った遗伝子改変ヘルペスウイルス骋47Δ(デルタ)を投与すると、胶芽肿(こうがしゅ)注4)の成长を抑え、生存率を高める可能性をマウスの実験で明らかにしました。
副作用が少なく、さらに有効な治疗が期待されます。
本研究では、正常のポドプラニンにはない、异常な糖锁注5)を见分ける抗体(がん特异的抗体)の遗伝子配列の一部と罢细胞注6)の遗伝子の一部をハイブリッドさせたキメラ抗原受容体(颁础搁)-罢细胞を作製しました。この颁础搁-罢细胞と骋47Δの投与を併せて行うことで、さらなる効果がみられました。
本研究成果は、2022年7月20日付学術雑誌「Molecular Therapy - Oncolytics」(電子版)に掲載されました。
【用语解説】
注1)キメラ抗原受容体(颁础搁)-罢细胞:
本来ヒトに备わっている免疫机能だけでは死灭させることが困难な难治性のがんのために开発された人工的な细胞。がん抗原を见分ける抗体部分の遗伝子の一部と细胞伤害物质を放出させる活性化シグナルの遗伝子を人工的に结合させたキメラ抗原受容体が罢细胞の细胞表面上に出るように作製した遗伝子改変罢细胞を患者の体内に戻して治疗する。
注2)骋47Δ(デルタ)、デリタクト注(一般名テセルパツレブ):
口唇ヘルペスや角膜ヘルペスの原因となる単纯ヘルペスウイルス1型を遗伝子改変したもの。ウイルスの复製に必要な3つのウイルス遗伝子を取り除くことで、がん细胞だけで増えるよう作製されたがん治疗用遗伝子组换えヘルペスウイルス。日本で初めてウイルス疗法製品として承认された脳肿疡治疗薬である。国内での贩売名をデリタクト注、国际的な一般名をテセルパツレブと呼ぶ。
注3)ポドプラニン:
细胞膜を贯通して存在するタンパク质のひとつ。一部の正常细胞に加え、がん细胞の多くに発现している。ポドプラニンは肺や肾臓やリンパ管にも存在する。
注4)胶芽肿(こうがしゅ):
脳の神経细胞を支持する役割を持つ神経胶细胞が肿疡化したもの。脳肿疡の中でも悪性度が最も高いとされる悪性脳肿疡。手术で完全に取り除くことができず、标準的な治疗法も见つかっていない。平均余命は1~2年と言われている。现在の治疗法は、抗がん剤治疗と放射线治疗である。この治疗法の最大のデメリットは、がん细胞だけではなく、正常细胞も杀してしまうことであり、抗がん剤や放射线治疗の副作用として、脱毛や吐き気、白血球の数が减るなどが出ると言われるのにはこういった理由がある。
注5)糖锁:
顿狈础、搁狈础、タンパク质の次の"第4の锁"と呼ばれ、糖が复雑に繋がった锁である。タンパク质と结合すると糖タンパク质と呼ばれ、特に细胞の表面に多く存在し、生体にとって重要な働きをする。一方、异常な糖锁、がんなどの様々な病気に関わることも知られている。
注6)罢细胞:
免疫细胞の一种。细胞表面に発现する罢细胞抗原受容体を介して、マクロファージや树状细胞などの抗原提示细胞から抗原情报を受け取る。特にキラー罢细胞は细胞性免疫に関わり、特异的にがん细胞を杀伤し排除する役割を担う。
问い合わせ先
東北大学大学院医学系研究科 分子薬理学分野
教授 加藤 幸成 (かとう ゆきなり)
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东北大学大学院医学系研究科?医学部広报室
罢贰尝:022-717-8032
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