2018年 | プレスリリース?研究成果
脂肪燃焼体质を作るには、寒さの感知とエピゲノムの変化が重要
恒温动物は寒冷环境に适応するしくみを持っていますが、この际に重要な役割を持つのが脂肪细胞です。急激に环境の温度が低下すると交感神経系が活性化し、褐色脂肪细胞(注1)で脂肪が燃焼され、热が产生されます。一般によく知られている白色脂肪组织は、エネルギーを脂肪として贮めることが主たる役割であるため热产生能を有しておらず、热产生に関与する遗伝子(注2)も発现していません。しかし、寒冷环境が长期に持続すると、白色脂肪组织でも、脂肪燃焼と热产生に関わる遗伝子が诱导され、寒冷环境に个体が耐えられるよう适応します。
本来、细胞には「エピゲノム」というゲノムの后天的な调节机构が备わっており、エピゲノムのしくみにより细胞の种类ごとに働く遗伝子(活动中)と働かない遗伝子(休止中)が明确に决められています。脂肪を贮める机能を担う白色脂肪细胞では、通常は脂肪燃焼や热产生に関わる遗伝子は「休止中」で、働くことができません。では、恒温动物が长期の寒冷刺激を受けると、どのようにして遗伝子に寒冷环境に适応した体质への変化を促すのでしょうか?
東京大学先端科学技術研究センター/東北大学 大学院医学系研究科の酒井寿郎 教授、群馬大学生体調節研究所の稲垣 毅 教授、学術振興会特別研究員の阿部陽平、東京大学大学院薬学系研究科大学院生の藤原庸右および東京大学大学院医学系研究科大学院生の高橋宙大らの研究グループは、遺伝子がエピゲノムによって通常は「休止中」となっている白色脂肪組織に着目し、慢性の寒冷刺激による脂肪組織のベージュ化過程におけるエピゲノム解析を行いました。寒冷刺激を受けるとアドレナリン作用によってヒストン脱メチル化酵素JMJD1A(注3)がリン酸化され、寒冷刺激が持続すると必要な機能を獲得したJMJD1A がエピゲノム変化を介して「休止中」だった脂肪燃焼と熱産生に関わる遺伝子群を「活動中」にし、遺伝子を発現させて、ベージュ化を誘導し、寒冷環境に慢性的に適応するしくみがあることがわかりました(図)。本成果は、肥満や生活習慣病に対する新規治療法の開発に応用できるものと期待されます。
本研究は、文部科学省 科学研究費 基盤研究(S)「環境因子とエピゲノム記憶による生活習慣病発症の解明」、新学術領域研究「温度生物学」、文部科学省の産学連携プログラムである先端融合領域イノベーション創出拠点の形成プログラム「システム疾患生命科学による先端医療技術開発」等の支援のもとで行われたものです。本研究成果は国際科学誌 Nature Communications に2018年4月19日付オンライン版で発表されます。
(注1)褐色脂肪细胞:一般的によく知られている白色脂肪细胞は脂肪の蓄积を行うのに対し、褐色脂肪细胞は体を震わせないでからだの热を产生することが可能である。
(注2)熱産生に関与する遺伝子:交感神経から分泌されるノルアドレナリンなどの受容体である β アドレナリン受容体(Adrb1)や、ミトコンドリアにある脱共役タンパク質(Ucp1)など、熱を産生するために必要な鍵となるタンパク質群をコードする遺伝子群を示す。
(注3)闯惭闯顿1础:ヒストン脱メチル化酵素の一つで、エネルギー消费、性决定、肿疡形成、低酸素による応答など、环境変化に多様に応答して机能する。

図:エピゲノム変化と细胞の质の変化がもたらす寒い环境への慢性的な适応のしくみ
问い合わせ先
<研究内容に関するお问い合わせ先>
東京大学先端科学技術研究センター 代謝医学分野
東北大学 大学院 医学系研究科 細胞生物学講座 分子生理学分野
教授 酒井 寿郎(さかい じゅろう)
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電話:03-5452-5472/FAX:03-5452-5429 (東京大学 先端科学技術研究センター)
電話:022-717-8117/FAX:022-717-8118 (東北大学 医学部)
<広报担当者连络先>
東北大学 大学院医学系研究科?医学部 広報室
电话:022-717-7891/贵础齿:022-717-8187
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